ご挨拶

学会長ご挨拶

第39回日本医用画像工学会大会は山形大学大学院教授 湯浅哲也大会長の運営のもとで,2020年9月17日(木)から19日(土)の3日間,山形テルサにて開催されることになりました.一年以上前から準備をされてきた大会関係者や事務局の皆様,そして企業の業務委員会の皆様のご尽力に厚く御礼申し上げます.今年は,オリンピックが東京を中心に開催されるために,会期を9月に移動しての開催となっています.

日本医用画像工学会では学術大会の中で,AI技術の医用画像工学への応用をこれまでさまざまな形で取り上げてきました.2016年(千葉:羽石秀昭大会長)は教育講演という形でスタートし,2017年(岐阜:藤田広志大会長)は教育講演とさまざまなセッションを,また,この大会から実際にコンピュータを使って講習を行うハンズオンセミナーを開始し,AI技術を学ぼうとする研究者,企業の開発者,学生に対して実地訓練の場を提供してきました.そして,2018年(筑波:工藤博幸大会長)以降は,AI技術を大会のテーマに掲げ,特別講演,教育講演,シンポジウム,ハンズオンセミナーと展開してきました.昨年度の2019年(奈良:佐藤嘉伸大会長)には,AI技術と画像診断・処理に重点をおいた企画が組まれ,今年の2020年の大会では「AI画像:診断から治療へ」というテーマで,AI技術と放射線治療の関係に踏み込んでいます.AI技術は,もはや,一般的な技術になっている感がありますが,奥が深いので研究面,そして実用面での展開は限りがないように思います.

今年も,昨年に引き続き短時間の口頭発表(ティーザー)とポスター発表を組み合わせた発表形式になっており,すべての発表の概要を聞くことができるとともに,突っ込んだ議論がポスター会場でできるようになっています.また,特別講演で重粒子線治療の概要を知ることができるばかりでなく,実際の治療装置の見学ツアーも企画され,より理解が深まるものと思っています.この他にも,透過力の高いミューオンを用いたピラミッドのイメージングやオプティカル・コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)による網膜イメージングなど,X線やガンマ線を波動の主体としている医用画像処理の研究者に対しても目新しいテーマの講演を聴くことができます.さらに,政府が第5期科学技術基本計画の中で進めているSociety5.0の技術の医療面での社会実装に関する特別講演も用意され,盛りだくさんの内容となっています.この大会における皆様の活発な意見交換により,医用画像工学の研究が大きく進展することを期待しています.

日本医用画像工学会
会長 尾川 浩一(法政大学)

大会長ご挨拶

オンライン開催への移行について

すでに皆様に告知させていただいております第39回日本医用画像工学会(JAMIT)大会(2020年9月17~19日)ですが,コロナ禍の影響のためオンライン開催へ移行することが常任幹事会(5/15開催)で正式に決議されましたので,ご報告させていただきます.皆様を山形にお迎えすることはかなわなくなりましたが,これまでに用意したコンテンツはできるかぎり維持して開催する予定でおります.特別講演,シンポジウム,チュートリアル講演,ハンズオンセミナーはすべてオンラインにて当初の予定どおり実施させていただきます.また,MIT誌査読付き論文およびIJCARS(International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery)への投稿制度はそのまま維持いたします.

大会テーマは「AI画像:診断から治療へ」です.AIの威力と影響力については今更言わずもがなでありましょうが,これまでJAMIT大会では主に診断への応用が議論されてきました.そこで,本大会では,AI画像処理の放射線治療への応用を一つのトピックにしようと考えております.ハードとソフトの調和により優れた治療システムが構築されるという観点に立ちプログラムを構成しました.まず,特別講演として放射線がん治療の権威である根本建二 先生を講師にお招きし,重粒子線がん治療の最前線についてご講演をお願いしています.次に,シンポジウムでは「粒子線治療とAI画像技術」(オーガナイザー:臼井桂介 先生)というテーマで気鋭の先生方からAIを活用した治療支援技術に関するご講演をお願いしています.

もう一つのトピックとして,OCT(Optical Coherence Tomography)をシンポジウムのテーマにとりあげました.「OCTの技術的進歩と事業化、AI適用、そして臨床応用」(オーガナイザー:秋葉正博 先生)というテーマでOCTの発明から現在までの進展を,OCTに関わる工学,医学,企業を代表する方々にご講演いただきます.

一方,医用画像処理とは少し距離をおきますが,「AI / IoTとヘルスケア」および「イメージング」をキーワードにお二方の先生をご招待させていただきました.お一方は,宮田裕章 先生です.報道番組の解説などでご存知の方も多いと思いますが,先生には,「Society 5.0時代のヘルスケア」というテーマでご講演いただきます.ここでは,IoTやAIを軸に今後医療サービスがどのような変革を遂げ,どのような形態を取ってゆくべきかをご講演いただきます.感染症対策などに関するホットな話題についても聞けるのではないかと期待しております.もうお一方は,森島邦博 先生です.テレビ等でご存知の方も多いと思いますが,先生は,宇宙から降り注ぐミューオンを用いてピラミッドのレントゲン写真を撮像し,ピラミッド内部の未知の空間を発見されました.壮大なスケールのイメージングについてのお話しを聞いて,しばし太古に思いを馳せるというのはいかがでしょうか?

例年大好評を博しております深層学習ハンズオンは今大会もオンライン遠隔講義形式にて開催します.本年は,初級,中級,発展コースに分け,都合5回の開催を予定しております.事前受付制になっておりますので,ぜひ奮ってご応募ください.また,一般演題では,各演者に2分間の口頭発表をしていただく予定です.その後で演者と参加者が双方向でコミュニケイトできる場をご提供させていただきたいと考えております.他の学会での例を参考にしながら,オンライン開催の強みを十全に発揮させられるようにしてまいりたいと考えております.

コロナ禍により経済活動や社会活動のことごとくが停止・後退を強いられております.学術に関するアクティビティを維持するために学会の担う責任は非常に大きいものと考えます.かような状況下におきましてもJAMIT会員皆様が研究活動を促進できる機会をご提供できるよう最大限の努力をしてまいりたいと存じます.

第39回日本医用画像工学会大会
大会長 湯浅 哲也(山形大学)